RO Breidablik 日記(仮)

Breidablikで活動するプレイヤーの雑感などを記録するブログです

2018年11月

こんにちは。今日は特別な話題ではなく、ROでの日常と雑感を記事にしてみようと思います。
最近、ちょっとした調査記事の投稿を続けてきましたが、そういった記事の執筆には時間も掛かり、またネタを絞り出すのも結構大変です。
先日のインフレ対策の記事は結構長めの記事でしたが、内容、文章の練り込みが不足していて、無駄に長く、あまり良い記事になっていないと感じています。
そういう記事ばかりを書いていると疲れるので、軽めの記事も積極的に投稿していこうと思っています。
今回の記事は季節イベントの一種と言える「深淵の回廊」から話題にしていきます。
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内容のまとまりのない記事になりそうですが、そもそもブログとはそうした物なので、気にせずに書いていこうと思います。

1. 亡国の硬貨の使い道について

先週から深淵の回廊で実施されているティアマト攻城戦に参加しています。
参加の主な動機はレベリングと報酬です。
私の朧はレベル172までは何とかレベルを上げましたが、それ以降はレベリングが面倒でレベル上げはしてきませんでした。
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GVGに参加しているのに気合が足らないと指摘されそうですが、正直、レベル170以降の経験値テーブルの数字は厳しいもので、レベル上げを行う事は簡単ではありません。
ティアマト攻城戦の報酬の経験値は非常に高いのですが、これは運営からの一種の緩和策であると言えそうです。
イベントを盛り上げる為には人数が必要なので、人寄せの意味もあるのでしょう。
現時点で何とかレベル173までレベリングをする事が出来ました。今後の事はこれから検討します。
またティアマト攻城戦の参加により、深淵の回廊のポイントである亡国の硬貨が20,000枚を超えました。
何と交換するべきか迷いますが、取り敢えず、霧の妖刀などの装備品と交換しようと思います。
深淵の回廊のエンチャントに挑戦するべきかもしれませんが、RO丼の投稿を見ていると300回挑戦しても、強撃4が付かないという報告も多いので、ちょっと厳しそうです。
ギャンブルには手を出さずに、確実に拾える小銭を確保するのが無難な選択でしょう。
公式ブログによると、今回の亡国の硬貨は、次回の深淵の回廊でも使えるらしいので、特に使い道がないのであれば、取っておくという選択肢もあります。
何にせよ、限られた資源である事には変わりがないので、上手く使っていきたいと思います。

オーケストラ演奏が決定! : ラグナロクオンライン公式ブログ

2. クリスマスの装飾とアニバーサリーパッケージ

20日のパッチにより、クリスマスの装飾が開始されました。
ティアマト攻城戦の場内でも装飾が確認できるので、ユーザーが訪れる事の多いマップでは装飾が施されている可能性が高そうです。
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リアルの街路でもクリスマスに向けた電飾などが始まっています。もうそろそろ今年も終わりかと思うと、1年が過ぎるのは早い物だと思います。
12月というと、ROではアニバーサリーイベントが開始されます。
2017年は、JROの正式サービス開始15周年記念という事もあり、イベントの景品も豪華でした。今年も同じような大盤振る舞いを期待したい所ですが、今年はどうなるかは分かりません。
アニバーサリーイベントというと、パッケージが新規に販売されるので、そこで追加されるアイテムにも注目したいと考えています。
去年のアニバーサリーパッケージで追加されたアイテムは、グレータードラクルホーン、ニーヴバレッタなどでした。
今年もディーヴァ、アビス装備を強化する兜中段が追加されるかもしれないですね。
こればかりは情報が公開されるまでは分からないので、何とも言えないのですが。

また去年の名もなき剣士のブーツの様に、セット効果が追加される装備の追加により、MVPボスカードの救済も行われる様です。
16thアニバーサリーで救済されるカードは既に下記のページで公開されています。

平成最後のアニバーサリーカウントダウン!RTキャンペーン| ラグナロクオンライン公式サイト

このキャンペーンの景品として、ヴェルゼブブカード、セイレン=ウィンザー(MVP)カード、オークヒーローカード、ドッペルゲンガーカードの4つのMVPボスカードがラインナップされています。
紹介の下に「16thアニバーサリーイベントでセット効果が追加になる あの注目MVPカードがあたるチャンス!」という文言がある為、それを素直に読むのなら、この4枚の救済がアニバーサリーイベントで行われるのでしょう。
いつもの季節イベントに比べ、救済されるカードの枚数が多い様ですが、問題はセット効果の中身です。
救済の内容はまだ不明ですが、場合によっては、セニアの様に一気に化ける可能性もあります。
15thアニバイベントでイグニゼム=セニア(MVP)カードは、名も無き剣士のブーツとのセット効果により、条件次第で神器アイテムであるメギンギョルドを上回る性能を発揮します。
今後もこの様な救済措置がなされるかは不明なのですが、もしも、MVPボスカードを入手する事があれば、使わない場合でも手元に保存しておいて救済されるまでじっくりと待つのが良さそうです。

3. 精錬祭の仕込み

アニバーサリーパッケージが発売されれば、ラグ缶を除けば、精錬祭で精錬する候補となるアイテムはほぼ出揃ったと言えるでしょう。
精錬祭は、ご存知の通り、失敗してもアイテムが失われずに精錬を試みる事が出来る年に1度の機会です。
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その為、精錬値が7程度で追加効果を発揮するアイテムの精錬に成功すれば、一気に資産を増やす事が可能です。
失敗してもアイテムが失われない精錬をミラクル精錬というのですが、公開されている確率を見る限り、精錬値を8以上にする事は至難で、7程度なら何とか…といった確率です。
Breidablikに限らないと思うのですが、ROのアイテムの相場が冷え込むのは冬の時期なので、この時期に来年春の精錬祭に向けた仕込みをしておくと最小限の投資で大きな見返りが期待できます。
精錬祭を通して、ミラクル精錬を最大限活用した場合、1アカウントに付き、14個程度の+7防具を作る事が可能です。
これは防具の場合で、レベル4武器や一部の防具は、精錬の回数が制限されていて、+7まで持っていく事はなかなか難しいです。
可能ではあるのですが、防具ほどの数を作る事は難しいでしょう。

以上のような事情から、精錬祭で精錬する装備はパッケージの課金アイテムが最適です。
ラグ缶の装備でも良いのですが、値段が安定せず、再販が行われると顕著に相場が下がるので、目論見通り行くかは運次第です。
アニバーサリーパッケージなどの課金アイテムであれば、供給も安定していて、来年も1~2月にある究極精錬の後には値下がりも予想されるので、精錬祭に向けた仕込みとしては、良いアイテムであると言えます。
2018年の精錬祭の仕込みについては、過去に記事にしています。ご興味があれば、ご覧下さい。

来年の精錬祭りに備えて、今から仕込みをしています : RO Breidablik 日記(仮)

最近、ガーデンオブエデンなどのパッケージで入手できるアイテムが値上がりしている件と精錬祭りに向けた仕込みについて : RO Breidablik 日記(仮)

「究極精錬チケットGetキャンペーン2018」の影響で課金アイテムが市場に大量に供給されている様です : RO Breidablik 日記(仮)
http://rolog.blog.jp/archives/6490460.html

今年の精錬祭を振り返ってみると、サマーパッケージ2017のガーデンオブエデンが一番換金効率が良いアイテムでした。
グレータードラクルホーンなど、15thアニバーサリーパッケージのアイテムはあまり人気がなく、+7まで精錬しても期待したほどの利益は得られませんでした。

サマーパッケージ2017 ダウンロード版 | ラグナロクネットストア | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

なるべく多めにガーデンオブエデンを調達し、余ったZenyで+6でも市場価値のある邪竜の鎧を多めに製造する事が最適解に近いのではないかと思っています。
+7の防具を量産する事が出来れば言うことはないのですが、14個のガーデンオブエデンを調達する事は難しく、また自分で使う武器などの精錬を行う事を考えると、こうした計画に落ち着けた方が満足度が高そうです。
投資用の資金はある程度は用意する事が出来ました。
精錬祭の装備品の仕込みですが、今から動くのは早すぎるでしょう。ガーデンオブエデンの相場も未精錬の物が75~80Mで推移しているので、来年の1月半ばに来るであろう究極精錬のキャンペーン開始後、市場に同アイテムがあふれ、値下がりするかを待ってみるべきでしょう。
2018年度の精錬祭の最適解がガーデンオブエデンであったとして、次もそうだとは限りません。精錬祭に向けた投資は、これから何が最適化をより検討したいと思っています。
あとは精錬祭に向けた準備としては、七王家、テラグローリアといったクエストをアカウント内すべてのキャラクターでクリアしておくのも必要でしょう。
案外時間がかかる作業なので、今の内から動いておくと良さそうです。

今回は季節イベントについて、簡単に雑感をまとめてみました。
今の時期はリアルでもクリスマス、年末、正月と忙しい時期です。ROでもアニバーサリーイベント、クリスマスイベント、正月イベントといったイベントが隙間なく行われる時期なので、上手く立ち回っていこうと思う次第です。
季節イベントについては、また記事を投稿します。
今回はここまでにします。それでは。

こんばんは。
Breidablikでも、露店が復活してしばらく時間が経ちました。閲覧者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。
これまでの所、サーバが重すぎて、ゲームが成立しないといった状況は起こっていない様です。
露店専用ワールド「Noatun(ノアトゥーン)」が10月30日からオープンするなど、ゲーム内経済に大きな影響があるアップデートも実施されました。JROの経済の今後はこれまでにない道を辿る事になりそうです。
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9月以降の混乱、特にワールド倉庫を通じたワールド間のZenyの移動を防止する為と思われる修道女のヴェールの一件はユーザーの間で大きな話題になりました。
MMORPGはゲームではありますが、その世界の中ではゲーム内資産(Zeny、アイテム)のやり取りを通じた経済が成立しています。
最近のソーシャルゲームなどではユーザー間のアイテムのトレードがそもそも出来ないようになっているゲームも多いようですが、MMORPGというジャンルのゲームではそういった事は少ないようです。
当然、JROでもゲーム内経済が存在するわけですが、ROで問題になっているのはZenyのインフレだと思われます。
今回はJROが抱えるインフレとその経済対策について、雑感をまとめてみる事にします。
私は経済には疎く、内容は的外れな物になっていると思いますが、笑って読んでいただけると幸いです。
素人が考えた「ぼくのかんがえたさいきょうのインフレたいさく」といった内容だと思って下さい。
この記事は10月から書いていたのですが、気が付いたらだいぶ長くなってしまいました。
まとまりのない長ったらしい記事ですが、最後まで読んでいただけると幸いです。

1. Zeny回収の必要性

修道女のヴェールの一件でも明らかなように、2012年にワールド統合によって誕生したワールド(以下、旧ワールド)では多くのZenyがだぶついています。
それでは、なぜ、旧ワールドでは、大量のZenyが余っているのでしょうか?
要因を上げれば切りがないと思いますが、根本的にJROには、ユーザーの間で流通するZenyを回収する(調整する)仕組みが不十分だから、というのが一つの答えになるのではないでしょうか。
この章では、JROでのZenyの発生と流通について、ごく簡単にまとめたいと思います。

ワールド倉庫で発生していた不具合と対応のお知らせ| ラグナロクオンライン公式サイト

1.2 JROでの通貨の発行

そもそも、JROでZenyが新しく発生する契機は、モンスターから手に入れたアイテムをNPCに売った時にほぼ限られるのではないでしょうか。
厳密には、クエストなどで手に入るZenyもあるので一概に言えませんが、規模しては無視していいでしょう。
ユーザー間の取引は既に存在するZenyがユーザーの間を循環しているだけで、ワールド内のZenyの総量に影響を与える事はありません。
主に収集品と呼ばれるアイテムがNPCに売られる事によって、新規にZenyが発生します。
JROには、金融機関的な役割を果たすシステムは存在せず、中央銀行が国債の買い入れ等によって、市場にお金を供給し、供給されたお金を銀行が企業や個人に貸し出すといった事はあり得ません。
あくまでもユーザーの行動が新たなZenyを産み出すという形です。

1.3 運営はZenyの供給をコントロールできない

上記の事実は、ROを運営する人間にワールド内で流通するZenyを直接コントロールする手段がない事を示しています。
勿論、モンスターのアイテムのドロップ率やアイテムの価格を変更する事により、Zenyの新たな供給を操作するといった事は可能です。
ただし、そういった手段を取るにしても、新たなZenyがユーザーの意思と活動によって産み出されている以上、運営の管理の外でZenyが増え続ける事になります。
時間の経過に従い、ワールド内のZenyの総量は増え続ける事になるでしょう。
上記のようにアイテムのドロップ率等を変える事でZenyの供給をコントロール出来ますが、店売りの消耗品などを購入するためのZenyは常に供給する必要がある以上、これをコントロールする手段は、事実上、存在しないと思われます。
特にゲームを始めたばかりの新規のユーザーがZenyを得る手段は、モンスターから入手したアイテムを売る事だけでしょうから、Zenyの供給を止めてしまうとゲームの進行が不可能になります。
Zenyの供給を止めれば、ゲームの進行に支障が出る以上、モンスターの収集品から発生するZenyの発生を止める手段はないでしょう。

1.4 JROのZeny回収システムは不十分

1.3で書いた通り、JROでは時間の経過に従い、ワールド内で流通するZenyの総量は増え続けるのですが、これがそのまま進行すると、Zenyの希少価値が薄れ、インフレにつながります。
インフレを抑止する為には、ユーザーの手元にあるZenyを何らかの形で回収する必要があるのですが、現状ではあまり機能しているとは言い難い状態です。
この章では、JROのZeny回収のシステムと、関連する話題として装備精錬についてまとめます。

2. ROの既存のZeny回収システム

2.1 NPCによるアイテムの販売

これが一番分かりやすい回収方法でしょう。
NPCによる消耗品、装備などのアイテムの販売がZenyの回収手段として考えられます。
しかし、現状では一部の例外を除き、これらのアイテムの価格は非常に安く、Zenyの回収手段としては、あまり機能していないと思われます。
JROをプレイしていて、蝶の羽などの消耗品の価格を負担に感じる事はあまりありません。
大量に購入すれば話は別なのですが、これらのアイテムはNPCから常時入手が可能なので買い溜めをする意味はあまりありません。
プレイヤーに優しい価格設定と取れますが、インフレ対策としては不十分でしょう。
消耗品の値上げは、Zenyの回収手段としては有効ですが、手持ちのZenyが少ない新規のユーザーなどへの負担が大きく、実際には難しいでしょう。
装備品についても、店売りの装備は性能や価格が低く、あまり利用されないので、Zenyの回収手段としては非常に弱い物になります。例外はドラムの装備で、店売りの装備であるにも関わらず、中には100Mを超える値段になる物も存在します。
アイテムの販売については、4.2で私案を後述します。

2.2 スロットエンチャント

既存のアイテムにカードのスロットを追加できるシステムです。
それなりに高額のZenyを消費するシステムなのですが、対象が既存の装備に限られるので、どうしても需要が限られます。
また、モンスターハウスに配置されたNPCではポイントの消費でスロットエンチャントが出来るので、それも逆風になるでしょう。
例外は兜中段だと思いますが、それもさじ加減を間違えて、大量に供給するとあっという間に装備が陳腐化してしまいます。かといって、あまりに供給を絞り過ぎるとインフレ対策としては意味がありません。
私はスロットエンチャントはランダム型アイテム提供方式(いわゆるガチャ)の一種であると思っています。この点については4.2.3で内容を詰めて書いてみました。

スロットエンチャントのやり方|装備品強化|システム|ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

スロットエンチャント可能なアイテム|装備品強化|システム|ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

「スロットエンチャント9th」兜中段3種類のアイテムがスロットエンチャント可能に!| ラグナロクオンライン公式サイト

2.3 精錬

Zenyの回収の為のシステムではありませんが、類似の例として、精錬についても触れたいと思います。

精錬|装備品強化|システム|ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

このブログの読者の方は、皆さん、ご存知かと思いますが、精錬とは装備品のATKなどの性能を向上させる為に行います。
精錬には成功率が設定されており、常に成功する訳ではありません。
精錬値が4より上の値になる精錬を試みる場合、失敗の可能性があり、失敗すると装備もスロットに挿したカードも失われてしまいます。
装備の中には、精錬値によって追加効果があるアイテムもあるので、追加効果を発揮させる為には失敗の可能性がある過剰精錬を試みる事が必須になっています。
ROの精錬は失敗すると対象となるアイテムが消失するという、考えてみれば、ユーザーから見てとんでもなく不利な取り決めがなされています。
希少な装備はそれを手に入れるだけで相当な苦労があるのですが、そのようなアイテムでも精錬に失敗すれば、容赦なく消失します。冷静に考えれば、こんな不利な取り決めを多くのユーザーが受け入れている事はちょっとした驚きではないでしょうか。
精錬はサービス開始当初からゲームの仕様として組み込まれている為、長い時間を掛けて、この仕様をユーザーに受け入れさせる事に成功したと言えるでしょう。
なぜ、インフレ対策の記事で精錬を紹介したかと言うと、このシステムの運営から見た役割はゲームのコンテンツの寿命を伸ばすという意味では、インフレ対策と同等の役割があると考えられるからです。
精錬はユーザーにとって、非常に不利な取り決めである事は間違いないのですが、運営から見て、このシステムは必要不可欠な物です。
もしも、精錬によってアイテムが失われないという仕様を採用した場合、モンスターがドロップした装備品などはいつまでもワールド内に残り続けます。当然の帰結として、強力な装備の価値が失われ、ワールド内で多く流通する事になります。
これは運営から見て、非常にまずい事態です。まず、強力な装備が多く流通する事により、コンテンツの消費速度が速まります。
新規に追加されるダンジョンやメモリアルダンジョンといったコンテンツの開発には、一定の期間が必要な以上、最低でも次のコンテンツの開発が終わるまでの期間は消費されないようにする必要があります。
次に、ゲーム内コンテンツを運営が想定する以上のユーザーに攻略されてしまうと、ユーザーがゲーム内でやる事がなくなり、飽きてしまいます。
それが長引けば、ゲームをプレイする事を止めてしまう事にもつながるので、そういった状況を避ける必要があります。
ゲームである以上、攻略に熱心なユーザーが早期にコンテンツを消費する事は避けられませんが、それを適度に抑制し、大多数のユーザーを完全に満足させない状況を維持する必要があります。
それを実現する為には、ユーザーの間で流通する装備を何らかの形で回収する必要があり、ROでそれを実現する為のシステムが精錬であると言えるでしょう。
装備精錬によって、アイテムを消失させる事により、具体的には以下のような効果があると思われます。

・アイテムを消失させる事により、そのアイテムへの新たな需要を作り出し、結果としてゲーム内経済を刺激する
・コンテンツの攻略に必要なアイテムの数を調整する事により、大多数のユーザーのコンテンツの消費速度を遅らせ、コンテンツの寿命を延ばす。その結果として、ユーザーを飽きさせず、ユーザーの離脱を防止する

こういった作業を強制ではなく、ユーザーの手で自主的に行って貰う必要があるのですが、運営の都合だけを押し付けてもユーザーが思い通りに動かない事は明白でしょう。
その為、精錬を利用する動機付けをユーザーに促す為、一部のユーザーに強力なアイテムを、精錬の成功という形で渡す必要があります。
一部のユーザーを優遇する代わりに、大多数のユーザーから装備を回収し、ワールド全体のコンテンツの消費速度を抑制する事が、運営から見た精錬の役割でしょう。最終的に優遇するユーザーの人選をギャンブルで行っていると捉えれば、精錬のゲーム内で果たす役割について、全体像を掴めるのではないでしょうか。
インフレ対策もこれと似た側面があるのではないでしょうか。
インフレの影響によって損害を被るのは、そのワールド内のすべてのユーザーなのですが、損害の度合いはユーザーによって異なります。
アイテムなどのゲーム内資産を多く持つユーザーは、消耗品等のアイテムの相場が多少値上がりしても、それほど影響は受けません。
中には、資産のインフレによって、手持ちのアイテムの価値が上昇し、利益を得る場合もあるでしょう。
反対にゲーム内資産の乏しい新規、初心者に属するユーザーにとって、日常のプレイに必要な回復アイテム等の値上がりは深刻です。
その内容によっては、ゲームのプレイに支障を来す事も考えられるでしょう。
そういった状況をなるべく減らさないと、ユーザーがゲームをプレイする障壁となり、それについていけないユーザーはゲームから離脱してしまいます。
上記の通り、JROでは、ユーザーの間で流通するZenyを回収する仕組みはありますが、それが不十分な為、時間の経過に従い、インフレは徐々に進行するでしょう。
はっきりとユーザーが認識する速度で悪化する事はないでしょうが、物の値段が徐々に釣り上がり、ゲーム内資産の乏しいユーザーがその割を食うという流れは長期的に見て、非常にまずい事態と言えるのではないでしょうか。
JROのサービスが存続する為には、ゲームから離脱するプレイヤーを補うだけの新規のユーザーが必要です。
現状のJROは全盛期と違い、新規のユーザーが続々と参入してくるといった環境にはなく、新規のユーザーは非常に貴重です。
新規のユーザーをゲームに定着させる為には、参入障壁を低くしなければならず、インフレは大きな阻害要因になります。
インフレの進行によって、損害を受けるのは、インフレが発生しているワールドの全ユーザーなのですが、特に悪影響を被るのは新規、初心者に属するユーザーです。
これらのユーザーはJROのサービスを存続させるために、必要不可欠な存在なのは上記の通りです。
ゲーム内経済のインフレ対策の必要性は、これらの事情を考慮すると、かなり高いと言えるでしょう。
今すぐに対応するのは難しくとも、いつかはやらないといけない性質の事業ではないかと考える次第です。

4. Zeny回収私案

前章まで、JROのインフレ対策の現状とその必要性について検討しました。
この章では、JROで実施可能と思われるインフレ対策の具体案について、検討していきたいと思います。

4.1 デノミ(通貨単位の切り下げ)の実施、税金(所得税、消費税)の徴収

JROで技術的に可能なインフレ対策として、まず、運営によるデノミの実施、税金の徴収について検討します。
デノミとは、急激なインフレによって、通貨単位が大きくなり過ぎた際、通貨の計算、帳簿への記帳が煩雑になるのを避ける為、通貨の単位を額面の1000分の1に切り下げる措置の事を言います。
近年でデノミを実施した例は、以下の国です。括弧の中の日付はデノミを実施した年です。

・2001年以降にデノミを実施した国
ベネズエラ(2018年)
ルーマニア(2005年)
ジンバブエ(2008年)
朝鮮民主主義人民共和国(2009年)

JROでデノミを実施する場合、具体的には以下のような手順を踏むことになるでしょう

・デノミの実施をユーザーに告知
・定期メンテンナンスなどのタイミングでサーバをシャットダウンする
・データベースを更新し、デノミを実施するワールドのユーザーの手元にあるZenyを一律で切り下げる(1000分の1にする場合、1Mが1Kに)
・メンテンナンスの終了を宣言し、サーバを立ち上げる

次に検討するのは、税金の徴収です。
どのような形を取るかですが、所得税の様に一定期間(例えば、6ヶ月)の間にユーザーが得たZenyの20%を徴収すると考えます。
ユーザーが得たZenyの総額を得る方法はそれ程難しくないでしょう。単純にユーザーがNPCに物を売る、ユーザー同士で取引を行うといった行動が行われた時点でユーザーが得たZenyを記録し、その総計を出せばいいと思います。
税金の徴収の具体的な実施方法は、特定の日を徴税の日と定め(定期メンテンナンスの実施日が適当でしょう)、その日に計算した税金分のZenyをすべてのキャラクターから差し引くといった形で実現できると思います。

ここまでデノミ、税金の徴収の具体的な実施方法について検討してきましたが、どのようにお感じになられたでしょうか。
理屈の上では実行可能だが、実際にやるとなると難しいと判断される方が殆どだと思います。
まず、インフレ対策の必要性については、多くのユーザーが同意してくれると思うのですが、それをどのような形で負担するのかは大きく意見が分かれるでしょう。
ユーザーから強制的にZenyを徴収するやり方は、大きな反発を招く事が予想されるので、技術的に可能でも実際には難しいでしょう。
また上記の対策は財産をアイテムで持つユーザーへの対処が難しく、公平性に課題があります。
Zenyではなく、資産を査定して、税金を掛けるという方法もあります(現実の例では、固定資産税など)が、そもそもアイテムの資産的な価値を評価する事は難しく、万人が納得するような評価は出来ないでしょう。
税金の負担の問題は、現実の政治でも一番揉める課題で、この方法を実施する為のユーザー、運営の間で合意を見出す事は非常に難しいでしょう。
デノミについても、同様の問題があります。
そもそも、デノミの成功例というのは、あまりない様です。
デノミを実施しなければ行けない程のハイパーインフレが起こっている状況というのは、そもそも、その国の中央銀行や政府への信任が失われている場合が多く、そのような状況では技術的な施策だけでなく、インフレが起こっている状況が、今後改善すると広く国民に信用させる事も必要です。
JROのインフレもただワールド内にあるZenyを回収するだけでなく、インフレが起こっている原因を突き止め、これを改善する必要があるのではないでしょうか。
今、JROのインフレ対策として、一番簡単で、かつ、極端な手段を提示しましたが、その実現性については上に述べた通りです。
JROのインフレ対策も、ワールド内に流通するZenyの総量を減らすだけでなく、それがユーザー全体の利益につながるのだと、ユーザーを納得させないと上手く行かないでしょう。
徴税は考えてみれば、非常に無茶な社会システムなのですが、このような仕組みは不思議な事に現実に運営されています。
この仕組みが機能している理由は、国家という近代社会で、唯一、実力行使が認められた組織が運営しているからでしょう。
国家に対し、税金を支払わない人間は犯罪者であり、それを実力で逮捕して、投獄する事は広く認められています。これは独裁国家であろうと、民主国家であろうと変わりません。
国家が持つ警察、軍隊といった実力組織に抗う力を、一般の国民は持たない以上、国家に対し、税金の支払いを拒否する事はほぼ不可能でしょう。
その国の税制にどうしても従いたくないのであれば、外国に移住するという手段もありますが、普通の人間がそれを実行に移す事は非常に困難です。
現実の世界で、国民をやめる事は非常に難しいのですが、MMORPGの場合はユーザーである事を簡単にやめる事が出来ます。
その為、MMORPGのインフレ対策は、ユーザーからただZenyを回収するという手段は取れないでしょう。
時間、課金アイテム等のリソースを大量に注ぎ込んだユーザーは、そう簡単にはゲームは止めないでしょうが、それも限度があります。
逆に言えば、ライトユーザーは簡単にゲームを止める事があり得ます。
ゲームを存続させる為には、ユーザーの数を一定数維持する必要がある以上、ライトユーザーに負担が大きいインフレに対する対処は、必ず必要になるのではないでしょうか。
その施策は効果的で、かつ、ライトユーザーへ負担が少ない物でなければいけないでしょう。
次の章からは、もう少し現実的な案を検討しようと思います。

4.2 支援NPC追加

JROでZenyを回収するとすれば、一番良さそうな形は、無形のサービスを提供するNPCの設置ではないでしょうか。
この種のサービスは、JROではジョンダパス、セキュアログインボーナスなどがあります。

セキュアログインボーナス|システム|ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

サポートアイテム | スペシャルアイテム | アイテム | ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

ネットカフェ特典 | ネットカフェ | ラグナロクファン | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

季節イベント会場に設置されている下記のようなサービスを、Zenyと引き換えに1週間程度利用できるといった形が良いのではないでしょうか。

・宿屋
・特殊転送NPC
・バフ(料理)
・ホムンクルス飼育
・各種アイテム販売

課金アイテムとの競合になるので、難しい部分も多いと思います。値段の設定は難しいですが、100~500Kぐらいなら利用者もいるのではないでしょうか。
需要がありそうなのは特殊転送ですが、これをジョンダパスなどと同等のサービスにする事は難しいかもしれません。
かといって、ダンジョン転送が使えないとなると、このサービスを利用するメリットは非常に薄い物になります。
ダンジョン転送については、既存のサービスの7割ぐらいのダンジョンを選択肢として入れておき、定期的に転送先の入れ替えを行うといった仕組みを入れれば、既存のサービスとの両立も可能ではないでしょうか。
この後、アイテムの販売、ランダム型アイテム提供方式(いわゆるガチャ)といったインフレ対策も検討しますが、Zenyの回収手段として、この方法は結構有効であると思います。
無形のサービスを提供するという方法の性質上、この方法ではゲーム内経済に影響を与える事なく、定期的にZenyを回収する事が可能となります。
アイテムの販売、ランダム型アイテム提供方式(いわゆるガチャ)といった方法は、対象となったアイテムの陳腐化が著しく一時的な効果しか望めません。
ジョンダパスも一度使い始めるとその便利さから、ユーザーは継続的に使い続けることを考えると、この方法は長期的にZenyを回収する手段として、検討に値するのではないでしょうか。

4.2 アイテム販売、ランダム型アイテム提供方式(いわゆるガチャ)

次に検討するのは、アイテムの対価として、Zenyを回収する方法です。
この方法は既に実施済みのものもありますが、その効果について、検討します。

4.2.1 消耗品の値段の改定

蝶の羽、ブルージェムストーンなどの消耗品の値段を改定し、ユーザーからZenyを回収する方法です。
JROでは前例がない筈ですが、2008年にkROで基本プレイ無料ワールドが開設された際、実施されたことがあります。
物価の改定は地味ですが、長期的に見て、ユーザーの手元にあるZenyを減らせる為、インフレ対策としては効果的でしょう。

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ただ、消耗品の値段の改定の影響を受け易いのは、手持ちのZenyが少ないライトユーザーなので、この方法を実施するのなら、その対策も要るでしょう。
また、他のユーザーからの反発も勘案すると、物価の改定は実際には難しいと思います。
JROの消耗品の値段は、事実上、ゲームの仕様の一部と言えます。
その改定はゲームバランスに大きな影響があるので、実際にやるのであれば、kROのように既存のワールドではなく、基本プレイ無料ワールドの仕様とするといった形になるのではないでしょうか。

4.2.2 課金アイテムと同等のアイテム

これは課金アイテムとの競合になるので難しいと思うのですが、特殊な効果のあるスペシャルアイテムをZenyで購入できる様にすれば、Zenyの回収手段として有効でしょう。
どういったアイテムを販売するかはさじ加減が難しいのですが、精錬に関係する濃縮オリデオコンやブレッシング Lv10のスクロールなどが良いのではないでしょうか。
いっその事、改良型濃縮エルニウム辺りを100M程度の値段で売るのも良いかもしれません。
あまりやり過ぎると課金アイテムの売れ行きにも影響しそうですし、この方法はなかなか難しそうです。

スペシャルアイテム  アイテム  ゲームガイド  ラグナロクオンライン 《公式サイト》

精錬に失敗しても、装備品が壊れない!?「改良型濃縮エルニウム」「改良型濃縮オリデオコン」新登場!| ラグナロクオンライン公式サイト

4.2.3 ランダム型アイテム提供(いわゆるガチャ)

JROでは、ランダム型のアイテム提供が多く実装されています。
ラグ缶などのガチャもそうですし、古いカード帖などのアイテムもそうだと言えるでしょう。
お正月イベントの凧揚げもランダムでアイテムを入手できる事には変わりがないので、この種の取り組みの一部と言えそうです。
アメリカをテーマにしたローカルマップであるロックリッジでは、ハワードというNPCからロックリッジコインというアイテムを代価にランダムでアイテムを入手できます。
この種のランダムにアイテムを提供するNPCをZenyを対価に利用できるようにすれば、Zenyの回収ができそうです。
ただし、この種のサービスで提供されるアイテムは急激に陳腐化する為、効果は一時的なものになるでしょう。
例えば、ロックリッジで入手できる用心棒のスカーフは、2017年12月頃は+7の物が100Mを超える値段で取引されていましたが、今では10M程度になっています。
類似の例としては、2017年のアニバーサリーイベントで配布された15周年記念カード帖があります。15周年記念カード帖からはマヤパープルカード、ウォッチャーカードなどが入手できました。この時に対象となったカードは、軒並み値下がりしています。
2017年のアニバーサリーイベント以前は、マヤパープルカードは1G以上、ウォッチャーカードは150M以上で取引されていましたが、その後、マヤパープルカードは500M程度、ウォッチャーカードは50M程度の値段で取引されています。
どの様な形を取るにしろ、提供される数や時間が多くなれば、入手可能なアイテムは市場にあふれるので、陳腐化せざるを得ません。正月イベントの様に期間限定でやるのが無難かと思います。
例えば、年に1回程度、1回500Mで必ずMVPボスカードが入手できる機会を設けるといった形を取れば、Zenyの回収としては有効そうです。
上記の通り、さじ加減を間違えると、提供されるアイテムがあっという間に陳腐化してしまうので、何をどの様な形でやるかは慎重な判断が必要でしょう。

4.2.4 高級な店売り装備

ドラムの装備がそうなのですが、店売りであるのも関わらず、ラザーニャで強力な装備が売られています。
中には500Mにもなる装備もあり、非常に強力です。その性能からか、NPC売却、倉庫への移動のみが出来るという仕様になっています。
ドラム以外の職業でも似たようなコンセプトの装備を提供すれば、Zenyの回収手段として使えそうではあります。
もっとも、既存の装備やラグ缶の装備などとの競合を考えると、さじ加減が難しいでしょう。
やるとすれば、対モンスター向けの強力な装備をZenyで買えるようにするといった形になるのではないでしょうか。
現状、JROの店売りの装備品は、ほぼ使われていないと思うので、そろそろ拡充しても良い気がします。
実際にやるのであれば、上記の通り、ラグ缶の装備などとの差別化が課題になるでしょう。

4.2.5 イベント限定の回復アイテム

現状ではハロウィンイベントのカボチャケーキ、正月イベントのお雑煮、バレンタインイベントのビターチョコなど、イベントでしか入手できない強力な回復アイテムが存在します。
これらのアイテムはZenyで入手が可能なので、インフレ対策の一種であると見做すべきでしょう。
最近ではイベントの度にほぼ無償で使える3%回復剤が配布されている事を踏まえると、これらのアイテムがZenyの回収手段としてどれだけ有効かは読み切れないのですが、それなりに有効な手法ではあるでしょう。
現状、回復アイテムの供給は隙間なく行われているので、新たにアイテムを追加する事は難しいかもしれません。

5. ユーザーを納得させるゲーム内経済のマネジメントとは

長々と書いてきましたが、結局の所、ゲーム内経済のマネジメントに万人が納得する正解はないでしょう。
JROのインフレ対策はいずれやる必要があるのですが、後付の仕様変更だとその思惑を見透かされるので、なかなか難しい部分があります。
一般に人は付与された権利を取り上げられると強い拒否反応を示すので、インフレ対策のための仕様変更はどの様な形であれ、反発はあると思います。
恐らく、インフレ対策は装備精錬のように、当初から仕様として組み込んでおくべきだったのでしょう。
例えば、精錬に使えるアイテムをNPCからしかZenyで入手できない様にするといった形をとったり、物価を調整して、ブルージェムストーン等の消耗品の値段を高めに設定するなど、ユーザーの目から見て、意図が簡単に見透かされない形で回収することが理想だったのではないかと思います。

5.1 JROのインフレの根本的な原因

Zenyの回収手段の不十分さは、ROの仕様の検討が不十分だった事を示唆しています。
当初から仕様として、Zenyの回収を含めて検討するべきだったという指摘をしたくなりますが、この指摘がビジネスとして正解だったかはまた議論の余地があるでしょう。
ROが日本で成果を挙げられたのは、2001年という非常に良い時期に投入されたタイトルである事が関係しているのでしょう。
当時はβテスト期間であった事もあり、ROは実質的に未完成品でした。
しかし、2001年当時、前年は34%だった日本のインターネットの世帯普及率が60%に増え、翌年は81%に伸びるなど、ROに追い風が吹く状況が続きました。
当時はMMORPGのタイトルの数も少なく、競合となり得るSNSなどのサービスもないという状況でした。
日本でSNSが普及する2004年以前は、日本語圏のインターネット上のサービスで大規模なコミュニティを形成したサービスは非常に限られます。
例外はヤフー掲示板か2ちゃんねるといった匿名掲示板ぐらいだったと記憶しています。2ちゃんねるは権利関係のこじれから、2017年に5ちゃんねるに名称を変更しました。
同時期に日本で普及したタイトルは、ファイナルファンタジーⅪ、ウルティマオンラインぐらいで、アジア人の好みに合う、アニメ調のキャラクターを動かせるMMORPGはラグナロクオンラインぐらいしか無かったと記憶しています。
競合となり得るタイトルは、ファイナルファンタジーXIやエバークエストなど数多ありましたが、それらのタイトルは要求スペックが高めで、普通のユーザーが遊ぶには敷居が高かった面があります。
ラグナロクオンラインは当時としても、PCの要求スペックが低めだったので、比較的安価なPCでのサービスを受ける事が可能でした。
余談ですが、日本でSNSが普及したのは、2004年11月ぐらいにmixiが20万ユーザーを達成した頃でしょう。ほぼ同じ時期に、現在、世界規模のSNSとなったFacebookもサービスを開始しています。
今では、モンスターストライクの運営会社として知られるミクシィですが、当時の事業は求人サイトやSNSの運営でした。
2001年当時はMMORPGのタイトルそのものが少なく、一般に普及していたPCで動くMMORPGというとラグナロクオンラインが候補に上がるという状況が長く続きました。
2004年には、ラグナロクオンラインの同時接続者数は10万人を突破し、サービスは活況を呈しました。もっとも、当時の接続者の内訳は、BOTもかなりの割合を占めていたと思われるので、実際には中身が入った接続者はもっと少なかったでしょう。
それでもMMORPGとしては、ラグナロクオンラインはネットゲームの黎明期にヒットしたタイトルであるという事実は変わりません。
恐らく、ラグナロクオンラインが成功したのは、2001年にβテストを開始し、2002年12月に正式サービスを開始したという時期的なものが大きく関係しているでしょう。
仮にβテストの開始が2002年開始、2003年の正式サービス開始という状況だったとしたら、2004年に10万人を超えるユーザーを集める事が出来たかは疑問ではないでしょうか。
上記の通り、ROは未完成品に近い状態で市場に投入されたタイトルなのですが、日本でインターネットの世帯普及率が急速に伸び、競合となるゲーム、サービスが少ない時期に投入された為、MMORPGとしては異例のヒット作となりました。恐らく、ゲーム内経済の問題なども含めて、万全の状態にしてから市場に出そうとしていたなら、この機会を逃していたでしょう。
また、2001年当時、ROの仕様をまとめているグラビティの人間に「数年後を見据えて、ゲーム内経済を安定させる施策を十分に練るべき」という提案をしても、「このサービスが数年に渡って、存続するか分からないので、積極的に取り組む理由はない。そもそも、次のアップデートの開発をしなければならないので、そういったサービスの存続や開発の成否に直結しない問題を検討する時間などない」といった答えが返ってきたでしょう。
今でこそ、老舗のMMORPGとなりましたが、当時は数多くあるMMORPGの一つであり、その行く末がどうなるか全く分からない状況でした。
そもそも、投入された時期がずれていれば、数多くの競合の中で埋もれ、あっさりとサービスが終了していたかもしれません。
2002~2005年ぐらいの最盛期には、ラグナロクオンラインは数多くのマップや攻城戦等の新システムの追加が間断なく続いており、開発者はその対応に忙殺されていたと思われます。
「ラグナロクオンラインにインフレ対策が必要」という見解は、2018年現在もJROのサービスが続いているという結果を知っている人間でないと持つことは難しかったのではないでしょうか。
2001~2005年ぐらいに開発に追われていたグラビティの人間に、その様な副次的な問題に関心を払う余裕は恐らくはなく、考える機会があったとしても、数年後どうなっているか分からないタイトルの為に、インフレ対策をするといった施策を実行に移す事は難しかったでしょう。
そもそも、ゲームの開発者は経済の専門家ではありません。2001年当時、数年以上の運営の実績があるMMORPGはウルティマオンラインぐらいしかなく、当時と今では得られる知見に雲泥の差があります。
こういう時代背景や当時のグラビティの開発者が置かれていた状況を考えると、ゲーム内経済のインフレ対策について、真剣に考えなかったとしても無理もない話だと思います。

5.2 JROのインフレ対策の難しさ

では、現在、RO運営チームがJROのインフレ対策に取り組めるかというと、これはこれで難しそうではあります。
ゲーム内経済の運営は、たかがゲームではありますが、ユーザーと運営の利害が絡んだ複雑な問題です。
10月に話題になった修道女のヴェールの一件は突発的な事態であり、ガンホー社内で出来ていたであろう「Breidablikでインフレを起こさせない」という方針を揺るがす事態であったと思われます。その為か、匿名掲示板の投稿からそれ程間もない時間にワールド倉庫が停止するなど、早急な対応が行われました。
ただし、平時に新しいインフレ対策を実施するとなると難しい部分が多々あるでしょう。
まず、関係者が多様です。インフレ対策を行う担当者、その施策の承認の可否を判断する責任者、ROのユーザーなど、利害を異にする人々が関係しています。
インフレ対策の内容によっては、社内でも意見が分かれる事もあるでしょうし、それによって割を食う事になるユーザーは必ずいるでしょう。そういったユーザーからの反発は非常に激しくなる事が予想されます。
修道女のヴェールの一件の後、運営からのお知らせの中に「ワールド倉庫については、Zenyの移動を目的としていないため、NPCから購入できるアイテムは利用することができない仕様としております」という文言が入っている事から分かるように、その時点では運営チームはワールド倉庫を通じたZenyの移動を認めない姿勢を打ち出していました。
しかし、それから約2週間後、露店専用ワールドであるノアトゥーンが開設され、小為替というアイテム経由でZenyの移動を認めるという、それまでの方針を覆す決定を下しています。
この方針転換の背景には、Breidablik以外のワールドのプレイヤーの強力な反発があった物と思われます。
9月のワールド倉庫の実装以来、人口の多いBreidablikに露店が集中するという現象が起こり、それ以外のワールドでは露店がなくなり、有用なアイテムを買うことが出来ない状況が生まれました。
また、ワールド倉庫を通じたZenyの移動が認められなかったので、Breidablik以外のワールドのユーザーの持つZenyの価値が急落し、ユーザーから大きな反発を招きました。
MMORPGに限りませんが、インターネット上のサービスの運営者は、ユーザーに対して絶対的な力を持っているかに見えますが、実際にはサービスに関わるプレイヤーの一員に過ぎません。提供しているサービスの中では絶対的な力を持っていても、何もかもを意のままに出来る訳ではありません。
特にユーザーの利害が錯綜するゲーム内経済の問題ではそうでしょう。
現在のJROはアイテム課金で手に入れた装備を、ゲーム内で露店で売る事を認めているので、ゲーム内経済には現実世界のお金が絡んでいます。
例えば、パッケージを買って購入した課金アイテムを露店で売りに出して、金策をするという事を多くの人がやっています。こうなるとゲーム内経済の問題は、たかがゲームと片付けらません。
またROのキャラクターの強さのかなりの割合を、装備品の性能が左右しているといった事情もあり、ゲーム内経済の問題はJROの根幹に関わる問題と言っても差し支えはないでしょう。
どの様な装備品をゲーム内で手に入れられるかという問題は、JROで受けられるユーザー体験の質を左右するので、ユーザーは必死です。
「ゲーム内経済のインフレ対策を行う必要がある」という総論については、多くの人が納得するでしょう。実際、インフレはゲームへの参入障壁を高め、ゲーム内資産の乏しいライトユーザーの定着に悪影響を及ぼします。RO全体の人口を維持するためにも、インフレ対策は何らかの形で行う必要があります。
ただし、その具体的な手段と施策といった各論の話になった途端、様々な批判が巻き起こる事は目に見えています。
ワールド倉庫実装当初の「ワールド倉庫を通じたZenyの移動は認めない」といった方針は、その実例と言うべきでしょう。
ゲーム内経済の問題は、上記の通り、JROにおけるユーザー体験の質に直結する問題なので、その匙加減を間違えるとユーザーからの反発は激しいものになります。
場合によっては、反発の激しさから当初の方針を撤回する所にまで追い込まれる事もあり得ます。露店専用ワールドの追加と小為替によるZenyの移動の解禁は、その例でしょう。
こういった関係者の利害が鋭く対立する問題であるので、インフレ対策の実施には慎重な対応が必要でしょう。

5.3 運営チームはリスクを取ってでも、インフレ対策をやるべきか

実際の所、極めて生臭く、面倒な問題であるので、ガンホーの担当者がこの問題に手を付ける事に二の足を踏んでも無理がない話だと思います。
インフレ対策はゲームの寿命を伸ばすために、いずれやらなければいけない問題なのですが、それを1〜2ヶ月放置した所で何も起こらないでしょう。
インフレ対策の実施は、それが効果的であればあるほど、ゲームに与える影響が大きいので、実際に実施するとなると、様々な調査や検討を行った上で社内で稟議を取る必要があると思われますが、そういった作業には相当なエネルギーが必要です。
実施するまで相当な苦労がありますが、それだけの労力を払っても、インフレ対策は成功が約束されているわけではありません。
インフレ対策が仮に成功しても、その効果は見えづらく評価も難しいでしょう。少なくとも、それによって売上が伸びるといった成果はないと思われます。その上、失敗すれば、プレイヤーから指弾されるだけならまだしも、ゲームから引退する人間が急増するといった事態に発展する可能性もあります。
そういった事情を踏まえると、上記の通り、運営チームの担当者がインフレ対策に消極的になっても無理もない話でしょう。
日々、ゲームの運営に関わるアップデートの開発などの作業に追われているのなら尚更です。
インフレ対策を試みて、失敗すれば指弾されますが、放置しても直近では何も起こりません。関係者が把握しにくいゆっくりとした速度で、徐々にインフレが悪化していくのでしょうが、それが顕在化するのに時間が掛かるでしょうし、インフレを放置しても担当者個人が責められる事態にはならないでしょう。
ゲーム内経済のインフレ対策を行うのであれば、ユーザーを納得させる施策である必要がありますが、まさか現実の政治のように会議を開いて、合意形成を行うといった事は現実的ではないでしょう。

5.4 結論

結局の所、JROのインフレ対策は行われたとしても、対処療法的な措置に終止し、抜本的な改革は行われないのではないでしょうか。
ワールド倉庫の実装後のZenyの移動の制限のような施策がまた行われる可能性はありますが、ユーザーの財産を毀損するような手法が受け入れられるとは考えにくく、敢えて、火中の栗を拾う理由も運営にはないでしょう。
JROのインフレ問題は、ROの仕様として、Zenyの回収手段が不十分である事から起こっている問題です。
解決は上記の通り、非常に難しいでしょう。結局の所、JROに関わるすべての人間が対策の必要性を感じつつも、改革の難しさからインフレによる弊害を感受し続けるしかないのかもしれません。

今回はここまでにします。それでは。

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