こんばんは。
今回はラグナロクオンラインの原作漫画であるRAGNAROK INTO THE ABYSSの1巻の紹介記事を書いていこうと思います。
1巻の韓国語版が出たのは、1998年の事らしいので、もう20年以上前の事です。
日本語版は、2004~2005年に掛けて、7巻まで訳されました。
何らかの経緯で10巻以降の話は打ち切りになった様です。
もう続きが描かれなくなって、10年以上になるので、今後も続きが読める可能性は低いでしょう。
既に絶版という事もあり、インターネット上でも紹介記事を書いている人は少ないみたいです。
その為、原作の紹介記事を書いてみることにしました。
ROをプレイした人は多いのですが、その内、原作を読んだことがある人の割合は日本では少ないと思います。
多分、10%もいないのではないでしょうか。
ROのクエストやメモリアルダンジョンのストーリーは、原作を読まないと時系列や伏線の意味を汲み取れない描写も多いので、原作を知っておくと、より世界観への理解が深まると思います。
この連載はネタバレ全開で書いていくので、原作を自分で読んで楽しみたい人は、この下の記事は読まないで下さい。
あとは、以前、登場人物紹介の記事を投稿しています。
ご興味があれば、こちらもお読み下さい。

RAGNAROK INTO THE ABYSSの登場人物を紹介する記事を書きました : RO Breidablik 日記(仮)
http://rolog.blog.jp/archives/22683531.html

1. 1巻のあらすじ

バルドルの生まれ変わりを探すため、グラストヘイムに赴き、センティネルブリズの剣を求めるフェンリル。
それを阻止するべく、太古の巨人ギガンテスを率いて、サラという魔術師が襲いかかる。
果たして、フェンリルはバルドルの生まれ変わりと再開することは出来るのか。

フェイヨンを拠点に冒険者として活動するケイアスとアイリス。
人間を襲うフェイスワームを討伐し、その過程でリディアと知り合う。
彼らがフェイヨンに帰還してから、物語は動き出す。

賞金首の凄腕の剣士であるサクライ、それに接触するフギン、ムニン。
「高貴な血」を求める魔剣タルタロスとの契約を果たす為、人を切り続けるサクライ。
そんなサクライに対し、フギン、ムニンはタルタロスが求める血が「四聖水一族の村フェイヨン」で手に入る事を示唆し、彼をフェイヨンに誘導する。

1.1 その後のストーリー展開のための登場人物紹介と状況説明といった意味合いが強い

1巻のあらすじは上記のような感じです。
ごく簡単にまとめましたが、本当に上記の様な感じです。
1巻で展開されるストーリーは、その後の展開の為の登場人物紹介、状況説明といった色彩が強いので、そのつもりで読んだ方が良いでしょう。

2. ストーリー、登場人物の詳細

2.1 フェンリルとサラ

いきなり、グラストヘイムでフェンリルが、センティネルブリズの剣を探し求めるシーンからストーリーが始まります。
これは第1話の最初のシーンなのですが、正直、唐突過ぎる印象は否めません。
この1話のストーリーは、メモリアルダンジョン「フェンリルとサラ」の元ネタです。
センティネルブリズの表記は原作に合わせました。
フェンリルがセンティネルブリズを手に入れ、それをギガンテスを率いるサラが妨害するところまで、メモリアルダンジョンのストーリーとほぼ同じです。
その為、ストーリーの解説は割愛します。最後にサラがフェンリル追跡の為の御札を投げるところで終了です。

フェンリルとサラ | メモリアルダンジョン | ワールドマップ | ゲームガイド | ラグナロクオンライン 《公式サイト》

2.1.1 フェンリル

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フェンリスの素性は、正直、よく分かりません。
北欧神話のフェンリルは、ラグナロク(神々の黄昏)に出てくる狼です。
フェンリルが、どの様に自分の前世を自覚したのか、何故、センティネルブリズを手に入れようとしているのかについては、この話の後で説明が入ります。
その説明によると、「2年前に記憶の封印が解かれ、バルドルの探す旅に出た」との事です。
下記のコマは2巻からの引用です。
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具体的に、フェンリルの前世は何なのか、といった説明はありません。
バルドルとは、ケイアスの前世のことです。北欧神話の主神であるオーディンの息子であり、ラグナロク(神々の黄昏)の後、異母兄弟のヘズと共に暮らすそうです。
北欧神話のフェンリルは、怪物として描かれている存在で、バルドルと特別な関係にあったという事はないみたいです。
2巻の話になりますけど、フェンリルは前世において、バルドルとともに女神フレイヤと戦ったらしいです。
北欧神話のバルドルの妻は、ナンナという女神なのですが、彼女が戦士だったという話は見当たりませんでした。
そもそも、フレイヤが何かの陰謀を企むという設定自体、RAGNAROK INTO THE ABYSSのオリジナルですから、フェンリル狼の正体は実は女性で、バルドルと恋愛関係にあったという話でも別に良いと思います。
そこら辺の説明があまりされていないので、ちょっとモヤモヤする部分が残ります。
原作では、神様が普通に人間に転生しているみたいですが、生まれ変わりや転生といった概念は仏教が由来ではないかと思います。
東洋人には、原作のストーリーの要旨は伝わる気がしますが、北米やヨーロッパなどのキリスト教圏では、神が人間に生まれ変わるという筋書きは理解はできても、共感は難しそうだと思いました。
ただ、Wikipediaで軽く調べてみた所、古代ギリシャや西洋近代の一部でも、転生という観念はあったらしいです。
フランス革命後、カトリック教会の権威が低下した知識人の間で、転生という観念が魅力的だと思われていたらしいので、案外、すんなりと受け入れられるのかもしれません。

転生 - Wikipedia

サラの襲撃から逃げ切った後、フェンリルはセンティネルブリズを使って、バルドルの生まれ変わりをサイコメトリーの魔法で捜索します。
サイコメトリーの魔法で対象を追跡する為、フェンリルはバルドルと関連する剣が必要だったのでした。
この後、得られた手がかりを元に、フェンリルはフェイヨンの村へと向かいます。
しかし、サラから投げつけられた対象を追跡する札の効果により、サラもまたバルドルの居場所を知る事となります。
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余談ですが、1980年代の日本では、アニメ、漫画、小説、オカルト雑誌などで前世の記憶を共有する仲間たちと連帯するという作品が人気を集めたらしいです。
オカルト雑誌の読書コーナーでも、前世の記憶を共有する仲間たちを募るといった行為が流行したとのことです。
当時は冷戦時代ですし、核戦争による破局が現実的にあり得る時代でした。
また西暦2000年という区切りの良い年が間近に迫り、ソ連の改革への頓挫、東欧革命、冷戦の終結、PCをはじめとするコンピュータによる情報化社会の進展など、政治経済に様々な変化があった時代です。
あとはノストラダムスの大予言という、フランスの占星術師が書いた予言書が、日本でも大変なブームになりました。
その中にある「1999年7月に空から恐怖の大王が来るだろう」という一節が、世界の滅亡を予言しているという考えが大きく広まりました。
「空から恐怖の大王が来る」という一節が、全面核戦争による破局というイメージと非常に親和性が高かったことが大きく影響していたのでしょう。
そういった時代背景が「使命に目覚めた人々が破局的な未来を阻止する」というストーリーが受け入れられやすい下地になっていたのでしょう。

戦士症候群 - Wikipedia

『ムー』読者ページの“前世少女”年表 - ちゆ12歳

ノストラダムスの大予言 - Wikipedia

ノストラダムス現象 - Wikipedia

ミシェル・ノストラダムス師の予言集 - Wikipedia

諸世紀 - Wikipedia

RAGNAROK INTO THE ABYSS 1巻の韓国語版が出たのは、1998年のことらしいです。
韓国でも同様のブームがあったのかは知りませんが、直接の影響はなくても、間接的な形で原作のストーリーに影響を与えていても、不思議はない気がします。
また主人公たちの年齢設定を10代後半~20代前半にすると、冒険の旅に出る動機付けがやり難いというのも影響していそうです。
「前世の記憶を受け継いだ戦士たちが使命に目覚めて、破局的な出来事を阻止する」というストーリーにすると、旅立つ動機や仲間探しの話もごく自然に進行するので、そういった意味でもやりやすかったのではないでしょうか。
前世が特別な存在である、という風にすれば、主人公たちが年齢の割に強くても、上手く説明できそうです。
結局、20世紀は何事もなく終わりましたが、多分、世紀末に使命に目覚めて、仲間たちを募っていた人々が超自然的な力に目覚めた戦士になって、人類の破局を防いでくれたのでしょう。

2.1.2 サラ

フレイヤの親衛隊であるヴァルキリーの一員であり、大長老アイリンの長女です。後述するアイリスから見て、異母姉に当たります。作中、結構力を入れて描かれています。

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後述するアルカナ曰く、「フレイヤから直接の命令を受け、行動しているが詳細は不明。フェンリルを殺そうとしたので、それが指令の内容だろう」との事です。
サラがフレイヤから何らかの命令を受けているのは確からしいですが、作中のサラはかなり好き勝手に振る舞っているので、命令を受けていたとしてもそれを忘れているのでは、と思ってしまいます。
サラの行動については、2巻以降に詳しく描写されているので、その時にまた解説します。
余談ですが、フレイヤの部下は明らかに女性に偏っています。
フレイヤ親衛隊のヴァルキリーは、北欧神話のヴァルキリーが元ネタなので、女性なのは当然なのですが、ヴァルキリーの部下も女性ばかりです。
親衛隊の名前をヴァルキリーにしちゃったので、女性しか出せなくなったのかもしれませんが、変化を付ける意味でも男性を出しても良かったのではないかと思います。

2.1.3 ギガンテス

サラが使役する巨人のモンスターです。
詳しくは2巻以降に説明がありますが、「伝説の聖戦で、神々と争った巨人族」との事です。
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ギガンテスとは、ギリシャ神話に登場する巨人なので、北欧神話とは関係がない筈です。
強敵として描かれ、2巻では活躍する場面があります。
デザインが原作とROではだいぶ異なります。
ROのギガンテスは、斧を持った巨人ですが、原作のギガンテスはロボットとファンタジー世界の間の子といった感じです。
2巻ではビームを出したりしているので、ファンタジー世界のモンスターといった印象とは結構違います。
ギガンテスとは直接関係がありませんが、原作の後半に「え…」と思う描写があるので、半機械の怪物といった描写も伏線なのでしょう。
基本、強敵として描かれているのですが、他のキャラクターの強さを表現する為に倒されてしまうシーンもあります。
バトル漫画に戦闘力のインフレは付き物なのですが、このままだと噛ませ犬になってしまいそうで、心配になります。
味方側の戦力のインフレに対応する為、その内、普通のギガンテスよりも強力な個体も登場しそうな気がします。
北欧神話には、巨人が結構登場するみたいなので、名前はそこから引っ張ってきても良かった気がします。
ただ、北欧神話の巨人は山の巨人、霜の巨人といった名称なので、ギガンテスのように如何にも強そうな語感ではありません。
作者もそこら辺の事情を考慮して、ギガンテスという名前にしたのでしょう。
ファンタジー作品に登場するモンスターは、色んな地域からネタを引っ張ってくるのが普通なので、あまり目くじらを立てる必要はないでしょう。

2.1.4 アルカナ

後述するゼノビアの配下の魔術師です。ROでは、メモリアルダンジョン「飛行船襲撃」に登場します。
「飛行船襲撃」のエピソードは、8巻以降に描かれている筈です。
原作の日本語版は7巻までしか出ていないので、日本語版での登場シーンはここだけだと思います。
1巻の段階では、特にストーリーには関わってこないのですが、「ゼノビアから命じられたフェンリルの調査報告を行う」という形で、アルカナが読者に対し、フェンリルの設定の説明を行います。
フェンリルがグラストヘイムにたどり着くまでの経緯が説明されているので、重要な内容を含んでいます。
ただ、フェンリルが前世の記憶を取り戻し、旅立つまでの経緯はアルカナに説明させず、ストーリーの序盤の話として持ってくるべきだったのではないかと思います。
超自然的な存在から啓示を受けて、フェンリルが冒険の旅に旅立つシーンをストーリーの冒頭に持ってくれば、その後のストーリーの展開も、より自然に受け入れられたのではないでしょうか。
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2.1.5 ゼノビア

ヴァルキリーの一員であり、大魔道士らしいです。顔見せだけで、特に何もしません。
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といっても、アルカナによる舞台説明はゼノビアに対する調査報告という形でなされるので、居てくれないと困ります。
アルカナの次回の登場は8巻以降なので、ゼノビアがケイアス、フェンリルの前に姿を表すのはだいぶ先のことになりそうですね。

2.2 ケイアス、アイリス、リディアとフェイヨンの関係者たち

ケイアス、アイリスはコンビを組んで、賞金を稼ぐ為、フェイスワームを退治するところから登場します。
ケイアスたちが、何故、フェイスワームを退治する必要があったのかはよく分かりませんが、一種の武者修行の様なものなのでしょう。
フェイスワーム退治については、その後のストーリーに特に関わってこないので割愛します。
フェイスワーム退治そのものは、あまり重要ではありませんが、その後に書かれているケイアスとアイリスの雑談や、リディアとの会話に伏線が多く含まれているので、そこだけは抑える必要があります。

2.2.1 ケイアス

冒険者であり、凄腕の剣士です。
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記憶喪失に陥っていて、2年以上前の記憶がありません。
重要なことを色々と覚えていないみたいなので、社会生活に支障が出ていると思うのですが、本人は明るく振る舞っています。

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アイリスやその後に登場するフェイヨンの人々と、どんな経緯で知り合ったのかは不明ですが、打ち解けた雰囲気で会話をしているので、短い間に信頼関係を築いているみたいです。
2巻以降のストーリーで書きますが、フェイヨンの人々はちょっと閉鎖的な雰囲気もあるので、余所者が人間関係を築くのはちょっと大変そうです。
これはケイアスという人物の人柄の良さを示す描写と受け取るべきでしょう。
本人には自覚がないのですが、バルドルという神の生まれ変わりらしいです。
詳しくは2巻以降で解説があります。
ケイアスの年齢などの個人情報は、彼が記憶喪失に陥っている為、詳細は不明です。
ただ、アイリスたちと普通に馴れ合っているところを見ると、外見は10代後半から20代前半といった感じなのではないでしょうか。
本人が記憶を取り戻し、バルドルの生まれ変わりとしての自覚を持つことで、その後のストーリーを動かす存在になるのでしょう。

2.2.2 アイリス

フェイヨンの大長老アイリンの娘であり、フェイヨンを拠点とする四聖水の守護者一族の後継者です。
前述したサラの異母妹です。

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四聖水の一族に伝えられた3つの宝刀の内、天龍刀の所持者です。
四聖水が具体的に何なのかはよく分かりませんが、2巻に登場するフェイヨンの長老の口から「四聖水の朱雀の加護が云々」というセリフが出てくるので、古代中国の四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)に関わるものなのでしょう。
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Wikipediaの解説ではクレリックであると書かれていますが、西洋ファンタジー風のクレリックらしい雰囲気はありません。
四聖水の守護者一族は、世界中に散らばっていて、フェイヨンはその総本山らしいです。
日本でいうと、比叡山みたいな感じなのでしょう。
フェイヨンの文化の描写は、典型的な西欧風中世ファンタジー世界と中世の韓国との間の子みたいになっています。
その為、上記のクレリックという説明はちょっと間違っていると思います。
四神を崇める東洋的な宗教団体のトップの血を引く、その後継者候補兼聖職者見習いというのがアイリスの立ち位置なのでしょう。

2.2.3 リディア

流離いのトレジャーハンターです。
正直、1~2巻の段階では単なる顔見せの為に登場した感があります。

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ゲフェニアを探して求めているらしいのですが、ゲフェニアの登場は原作8巻以降らしいので、7巻までのストーリーにはあまり絡みません。
8巻以降のエピソードで活躍する予定なのでしょう。
といっても、彼女とケイアスたちの絡みで、色々と状況説明がある為、読者にとっては結構重要な存在です。
どうでも良いのですが、彼女の初登場シーンはアルベルタなのですが、港町ではなく村として描かれています。

2.2.4 メッシュ

フェイヨンの警備隊長。
1巻では特に活躍しませんが、2巻以降に出番があります。
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2.2.5 大長老アイリンとその妻

本作のヒロインであるアイリスの父と母です。
1巻の段階では、顔見せだけで特に何をするでもありません。
彼らは、2巻以降の展開で、ストーリーに関わってきます。
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2.3 フギン、ムニン

影で暗躍するフレイヤの使い魔的存在です。
フギンは結構背が高く、中性的な顔立ちをしているので、男性の様にも見えますね。
彼女らの事を一言でいうと、この漫画の狂言回しです。ストーリーを進行させる為、色々と画策するのが仕事です。
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元ネタは北欧神話に登場するオーディン配下のカラスです。
朝に出かけ、夜に帰宅すると、オーディンの耳元でその日あったニュースをささやくのだそうです。
北欧神話の資料は、13世紀ぐらいの物まで遡れるらしいのですが、当時の人々にとって、新しいニュースを常に仕入れるというのは、超自然的な力を借りないと不可能なことだと認識されていたのでしょう。
現代では、スマートフォンにニュースのアプリをインストールすれば、新しいニュースが引っ切り無しに通知されてきます。
中世の人間には、想像するしかなかった超自然的な力の恩恵を誰もが受けていると考えると、何だか可笑しいですね。
北欧神話では、オーディンに仕えている筈ですが、原作では何故かフレイヤの配下になっています。
裏で色々と暗躍するのですが、暗殺などの面倒な仕事は、代行者を立てて、外に振るという姿勢が顕著です。
サクライの見立通り、実際には、かなり強いのでしょう。
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彼らが表に出たくない理由は、あまり描かれていません。
サラにもサクライを通して、間接的にちょっかいを出しているので、フレイヤ配下のヴァルキリーにも秘密にしておきたい、何らかの計画でもあるのでしょう。
余談ですが、ROではメモリアルダンジョン「サラの記憶」にシルエットだけで登場します。
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ROでの登場はこのMDだけなので、原作を読んでいない人には彼女らの正体は知りようがないでしょう。

2.4 サクライ

魔剣タルタロスを持つ賞金首の剣士です。
魔剣タルタロスを満足させる為、多くの血を求めています。タルタロスに掛けられた呪いを解く為には、剣に血を捧げる必要があるそうです。
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何故、賞金首になったのかはあまり説明がないのですが、2巻以降で「血を求めてさまよう呪われた殺人鬼」といった趣旨の説明がされているので、タルタロスを満足させる為に辻斬りや無差別殺人でもやったのでしょう。
登場して、早々、自分の狙う賞金稼ぎを返り討ちにするなど、戦闘面では高い能力を持っています。
賞金稼ぎの名前はキュゲスといいますが、サクライが賞金首であり、凄腕の剣士であることを説明する為に存在するキャラクターです。その為、返り討ちにあって、さっさと退場するまでが仕事です。その後の展開に関わってこないので、気にする必要はありません。
フギンとムニンの「剣の呪いを解くために必要な、タルタロスを満足させる高貴な血がある場所を案内する」という誘いに乗り、ケイアスたちと敵対します。
サクライのストーリー上の役割は、狂言回し(フギン、ムニン)の手先として、場を引っ掻き回す事です。
正直、フギン、ムニンにそそのかされて、都合良く使われている印象は否めません。
またサクライはタルタロスを満足させる為に人を斬っているのですが、タルタロスに血を捧げなかった場合、どんなペナルティがあるのかは不明です。
と言っても、メモリアルダンジョン「呪いの剣士」のストーリーを見る限り、サクライが人を斬っているのは、かなりの部分、自発的な意思による物と解釈できます。
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タルタロスに血を捧げないという選択は、今の所、サクライにはないのでしょう。
その意味で両者はベストパートナーと言えそうです。タルタロス自身、血を捧げてもらえないと困るので、サクライみたいな人でないと力を貸したりはしないのでしょう。
サクライには、タルタロスの呪いを解くという目的はありますが、正直、サクライが呪いを解きたがっているのかは怪しいところです。
そもそも、呪いを解いた後、サクライに帰る場所は、恐らくないでしょう。
「呪いの剣士」の後、近衛兵を務めていた王国がどうなったのか描写がありませんが、MDのストーリーでは、国王とその後継者が死亡した為、王家そのものは断絶したと見るべきでしょう。
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それが国家の崩壊に直結するかは状況次第だと思うので、ちょっと分かりません。
その国の民衆にとっては、王家が断絶して、他国に吸収されたとして、統治者の名前が変わったぐらいの話なのかもしれません。
ただ、サクライにとっては、王女のいない国に居場所を見出すことは出来なかったと思います。
また、サクライは多数の殺人を行い、賞金首として追われる身です。
呪いを解いたところで、これまでの行いが帳消しになるわけではないので、帰る場所も安住の地もないでしょう。
その事は、サクライ自身、よく分かっていると思います。
呪いを解くことに執着する様子が無いにも関わらず、フギン、ムニンの誘いにもあっさり乗った背景には、こういう事情も関係しているのではないでしょう。

2.5 2巻への展開

ケイアス、アイリスとリディアたちがフェイヨンに凱旋し、フェンリルを追って、サラがフェイヨンの村にたどり着いたところで1巻のストーリーは終了です。
フェンリルがサラを招き寄せたように見えます。フェンリルはサラがフェイヨン出身だったとは知らなかった様です。
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これは2巻以降の描写なのですが、ギガンテスを率いるサラはフェンリル追跡という目的から逸脱して、フェイヨンを強襲します。
メモリアルダンジョン「サラの記憶」が詳しいのですが、サラはフェイヨンの人々を強烈に恨んでいる為、この様な行動に出ているのでしょう。
サラをフェンリルがフェイヨンに招き寄せたのは、単に切っ掛けに過ぎないと見るべきだと思います。
2巻の描写を見る限り、フェンリルそっちのけで、復讐のためにフェイヨンを破壊して回っています。
この調子では、フェンリルの誘導がなくても、サラがフェイヨンを襲うのは時間の問題だったのではないでしょうか。

3. まとめ

取り敢えず、1巻のストーリーを簡単に紹介してみました。
無駄に長く、以前書いた登場人物紹介と被っている内容も多いです。
これは最初に書いた通り、1巻は登場人物紹介といった色彩の強いエピソードが多かったので、こうなってしまいました。
次巻の紹介がいつになるかは分かりませんが、次はもう少し新味のある内容にしていきます。

今回はここまでにします。それでは。