こんばんは。ドラムも実装され、しばらくの間、ゲーム内でも猫だらけの状況が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
01
今年の4月はドラムの実装、イグドラシルワールドの開設、攻城戦YggdrasillEdition、精錬祭りの準備イベントなど内容は非常に充実しています。
ラグナロクオンラインを楽しむには良い時期なのではないでしょうか。

2018年4月のイベント&ミニアップデート情報| ラグナロクオンライン公式サイト

アップデートが充実している4月ですが、個人的には別の事も気になっています。
具体的にはラグナロクオンラインの開発をしている企業であるグラビティの年次報告書です。
グラビティはガンホーの子会社のゲーム会社ではありますが、NASDAQに上場していて、毎年、この時期になると去年の活動をまとめた年次報告書を公開します。
ラグナロクオンラインで遊んでいて、それなりの時間が経過しましたが、気になるのはROがどれだけの期間続きそうかという事です。
ガンホーは2015年以降、PCオンライン事業とモバイルコンシューマ事業のセグメントを同一セグメントとして報告するようになった為、PCオンライン事業の数字を決算書から読み解くことが出来なくなりました。
この事は過去にも話題にし、グラビティの2016年年次報告書、ROの現状の売り上げの推定値については記事としてブログに投稿した事があります。
今回、2017年のグラビティの年次報告書の公表の前に、ガンホー、グラビティが過去に発表した数値を元にROの過去と現状について、整理してみたいと思います。
ROとの今後の付き合い方を決めるためにも、現状についてなるべく正確な情報を集める必要があると思っています。過去の情報を整理するだけでも、それなりの事が分かる筈です。
長い記事になりますが、お付き合いいただければ幸いです。

決算短信|ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

グラビティの2016年の年次報告書を読んで、ラグナロクオンラインのサービスが提供される主要な国のユーザー数の合計は約5万人である事など、興味深い数字が並んでいる事を発見しました : RO Breidablik 日記(仮)

ガンホーが運営するMMORPGであるエミル・クロニクル・オンラインのサービス終了が8月31日に迫っていることと日本のラグナロクオンラインの売上に関する考察 : RO Breidablik 日記(仮)

1. 文書作成の目的

ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)とグラビティが過去に公表したIR等を分析し、ROの現状について情報を整理し、今後の見通しについて考察する材料とする。

2. 過去の公開していた情報

2015年以降、ガンホーはPCオンライン事業の現状、ラグナロクオンラインの現状についてはあまり数字を出していない。
この状況では、ガンホーの出す情報からはラグナロクオンラインの現状を正確に把握出来ない。現状を把握する為には、グラビティが出しているIRなども読み解く必要がある。
ROの開発元であるグラビティはNASDAQに上場している為、株主向けのIRが充実している。これらの情報を読み解く事で、ROの現状を検討する事としたい。

GRAVITY OFFICIAL - | SEC Filings

決算短信|ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

2.1 ガンホーとグラビティの売上の検討

まずはガンホーとグラビティの資料から、同社の売り上げとそれに占めるRO関連の売り上げの割合を検討する。
以下の表はガンホーとグラビティの2008年から2017年までの売上の推移である。グラビティの2017年度の売り上げはまだ公表されていない為、省略している。
もっと過去の数字にまで遡る事は可能であるが、必要以上に遡っても今回の考察には役に立たないと思い、2008年までとした。
2008年から2017年までのガンホーとグラビティの売上の推移は以下の通りである。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント売り上げ 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
売上高 112億4105万3000円 102億9358万7000円 92億4015万4000円 96億0794万7000円 258億2152万5000円
割合 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00%
RO関連売上高 73億2851万1000円 77億4219万8000円 71億7637万9000円 65億9219万0000円 61億4860万1000円
割合 65.19% 75.21% 77.67% 68.61% 23.81%
ライセンスの支払いが占める割合 24.92% 32.07% 31.29% 29.23% 32.91%

ガンホー・オンライン・エンターテイメント売り上げ 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
売上高 1630億6000万0000円 1730億6900万0000円 1543億2900万0000円 1124億5700万0000円 923億0600万0000円
割合 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00%
RO関連売上高 36億2633万3333円? 23億7033万3333円? 19億1133万3333円? 23億4533万3333円? -
割合 2.22%? 1.37%? 1.24%? 2.09%? -
ライセンスの支払いが占める割合 30.00%? 30.00%? 30.00%? 30.00%? -

グラビティ売り上げ 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
売上高 4163万7000ドル 5074万6000ドル 4772万2000ドル 4961万3000ドル 5434万3000ドル
売上高(日本円) 41億6370万0000円 50億7460万0000円 47億7220万0000円 49億6130万0000円 54億3430万0000円
割合 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00%
RO関連売上高 3050万0000ドル 3738万5000ドル 3424万4000ドル 3276万9000ドル 3038万6000ドル
RO関連売上高(日本円) 30億5000万0000円 37億3850万0000円 34億2440万0000円 32億7690万0000円 30億3860万0000円
RO関連売上高割合 73.25% 73.67% 71.76% 66.05% 55.92%
JROからのライセンス収入 1826万6000ドル 2483万1000ドル 2245万3000ドル 1926万6000ドル 2023万4000ドル
JROからのライセンス収入(日本円) 18億2660万0000円 24億8310万0000円 22億4530万0000円 19億2660万0000円 20億2340万0000円
JROからのライセンス収入の割合(売上高) 43.87% 48.93% 47.05% 38.83% 37.23%
JROからのライセンス収入の割合(RO関連売上高) 59.89% 66.42% 65.57% 58.79% 66.59%

グラビティ売り上げ 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
売上高 4518万8000ドル 3656万6000ドル 3049万7000ドル 4269万8000ドル -
売上高(日本円) 45億1880万0000円 36億5660万0000円 30億4970万0000円 42億6980万0000円 -
割合 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00%
RO関連売上高 2040万3000ドル 1465万3000ドル 1266万0000ドル 2446万1000ドル -
RO関連売上高(日本円) 20億4030万0000円 14億6530万0000円 12億6600万0000円 24億4610万0000円 -
RO関連売上高割合 45.15% 40.07% 41.51% 57.29% -
JROからのライセンス収入 1087万9000ドル 711万1000ドル 573万4000ドル 703万6000ドル -
JROからのライセンス収入(日本円) 10億8790万0000円 7億1110万0000円 5億7340万0000円 7億0360万0000円 -
JROからのライセンス収入の割合(売上高) 24.07% 19.45% 18.80% 16.48% -
JROからのライセンス収入の割合(RO関連売上高) 53.32% 48.53% 45.29% 28.76% -

また同時に売上に占めるRO関連の割合と金額についてもまとめた。グラビティはROのライセンシー(実施権者)からのライセンス収入の内訳についても公表している為、それについてもまとめた。
グラビティのライセンス収入の内訳から、ガンホーのRO関連の売上高の内、ライセンスの支払いが占める割合についても計算し、表にまとめた。
またグラビティの売上を日本円にする際は1ドル100円として計算した。
2012年まではガンホーはRO関連の売上高についても具体的に公表していた為、売上に占めるライセンス料の負担の割合についても知る事が出来る。大体、売上の30%をライセンス料としてグラビティに支払っている様だ。
多少の誤差はあるが、これは1ドル100円で計算した為、為替レートが正確に反映できていないからではないかと思われる。
過去の実績から2013年以降のガンホーのRO関連の売上高の推定値についても、合わせて表に記載する。
グラビティのJROのライセンス収入をガンホーのRO関連売上高の30%と仮定し、それを100%に直した数字をRO関連売上高推定値とした。
これからはこの表を元にROの売上について考察を進める事としたい。

2.1.1 ROに未だに売上を依存するグラビティとパズドラに完全に軸足を移したガンホー

ガンホーの売上とそれに占めるRO関連売上高の推移を見ると、2011年まで売上の約70%をラグナロクオンラインという単一のタイトルに頼っている事が分かる。
それはグラビティも同様で、売上の約70%をRO関連売上高が占めている。また特筆すべき点として、JROのライセンス収入と売上に占める割合がある。
2008年のグラビティの売上は4163万7000ドルだが、その内、RO関連の売上高は3050万ドル、JROからのライセンス収入は1826万6000ドルである。
JROのライセンス収入だけで売上の40%以上であり、RO関連売上高に占める割合は60%近い。
ガンホーが2012年にパズル&ドラゴンズがヒットする前は、ラグナロクオンラインという単一のタイトルに収益を依存する体質だった事は既に知っていたので意外性はなかった。だが、グラビティがここまでJROからのライセンス収入に依存していたとは意外だった。
ガンホーがグラビティを買収できた背景の一つには、この様な事情もあるのかもしれない。
ラグナロクオンラインはPC/AT互換機とそのOSであるWindowsの上で動く事を前提として、2001年に開発されてから根本的なシステムは何も変わらないレガシーなMMORPGであり、新規のユーザーの獲得は非常に苦戦すると思われる。
ラグナロクオンラインという過去の遺産に頼り続けるグラビティの経営は素人目にも危ういものに映る。
売上の推移を見ると2012年を境にROの売上はガンホー、グラビティともに下がっている事が分かる。あとから振り返ると2012年が決定的な境になっている。
2012年頃はちょうどスマートフォンが一般消費者に普及し始めた時期と重なっている。この年を境にガンホーはパズル&ドラゴンズのヒットにより、売上の大半をラグナロクオンラインに依存する状況から脱却している。
2012年以前、ガンホーは売上の約70%をROに頼っていたのだが、2012年にはそれが23%になり、それ以降はもっと下がっている物と思われる。
2012年以降のガンホーはパズル&ドラゴンズのヒットにより、100億円弱だった売上を1000億を超える所まで伸ばし、まさに桁外れな成長を成し遂げている。
特定のタイトルに収益の大半を依存する体制は変わらないが、スマートフォン向けのゲームという新しいカテゴリのゲームに上手く移行できた事は評価できるだろう。
仮にJROの売上が以前の水準を保ったとしても、その重要度はパズル&ドラゴンズの売上と比較すると、相対的に下がらざるを得ない。
恐らく、現時点でもJROからの売上は20億程度はあると思われるが、この数字をガンホーの経営陣がどう判断しているかは分からない。無視できるほど小さいとまでは言わないだろうが、企業の命運を左右する数字ではないのは確かである。
その一方で2012年から現在に至るまで、ラグナロクオンラインに収入のかなりの部分を依存するグラビティにとって、JROからのライセンス収入の重みはガンホーとは質が違う。
売上の40~60%近くをROに依存するグラビティにとって、JROからのライセンス収入は未だ重要である。JROからのライセンス収入がグラビティの売上全体の15%以下になった年はない。
この捻れがJROの今後にどう影響するかは読みきれない。ガンホーにとって、今後、伸びしろがあまり期待できないであろうPCオンライン事業を存続させるべきかどうかは選択の余地がある問題だが、ROに売上の大半を頼るグラビティにはサービスを継続させる以外に選択肢が存在しない。少なくともラグナロクオンラインに変わる収益の柱を立てるまでは、グラビティはラグナロクオンラインというサービスを継続させなければいけない。
ただし、ガンホーとグラビティの間には複雑な関係がある為、ガンホーは単純に売上が下がったからJROのサービスを終了するとは簡単に言えない事情があると思われる。

2.2 ガンホーとグラビティの関係

ガンホーは2008年にグラビティの株式の50%以上を取得し、同社を子会社とした。
この動きはグラビティの持つラグナロクオンラインのライセンスの確保と開発のノウハウなどの経営資源を有効活用する為と説明されていた。

ガンホー、韓国Gravityを子会社化。「ラグナロクオンライン」シリーズのライセンスを確保

2011年以前のガンホーの売上の内、RO関連売上高を占める割合が約70~75%で推移していた事を考えると、この決定は当時としては必要な施策であり、かなりの合理性があったと思われる。
この状況は現在でも変わらず、2016年のグラビティの年次報告書のリスク要因の項目では株主について、以下のような記述がある。

「2008年4月1日以降、GungHoは当社の最大の株主であり、本日付現在、当社の普通株式の59.3%を有益に所有している。その結果、GungHoは取締役の選任、買収、売却、戦略的関係などの重要な企業取引の承認を含む株主の承認を必要とするすべての事項を大幅に支配することができます」

また同社の取締役には、ガンホーの代表取締役である森下一喜氏、同社の役員である北村佳紀氏、坂井一也氏が含まれている。この内、森下一喜氏、北村佳紀氏の名前は2007年の年次報告書でも同社の取締役として確認できる。
森下氏、北村氏、坂井氏は10年以上の長きに渡り、ガンホーとグラビティの役員を兼任し、同社に大きな影響を与えている事が伺える。
またグラビティの子会社であり、グラビティインタラクティブの代表取締役は北村佳紀氏であると記されている。グラビティインタラクティブはアメリカ合衆国カリフォルニア州に設立された海外支社であり、北米と第3国のユーザーを対象にサービスを提供している。

GRAVITY OFFICIAL - | ABOUT GRAVITY | Global GRAVITY

上記のような事実を踏まえると、グラビティはガンホーの完全な支配下にある企業と言っても差し支えないと思われる。
株式の過半数を親会社が所有するとともに、親会社の代表取締役、取締役が子会社の取締役を兼任し、北米支社の代表取締役を親会社の役員が兼任するなど、人事の面でもガンホーとグラビティはほぼ一体の関係の関係ある。
ガンホーの代表取締役、取締役はグラビティの経営に深く関与しており、日本のラグナロクオンラインの今後について、重要な決定を下す際、これらの組織の構造、沿革、人事が影響を与える事が十分に考えられる。
ガンホーは長期間に渡り、グラビティの経営に関与して来た以上、同社の現状にも一定の責任があると思われる。
特にグラビティが現在に至るまで、ラグナロクオンラインという過去の遺産に頼り続ける状況が続き、後継となるタイトルが出せていないという事実は重い。
またJROの売上は2016年度の場合、グラビティ全体の売上の16.48%を占めており、JROのサービスが終了してしまうとグラビティの経営への悪影響は避けられない。
売上の不振を理由にJROのサービスを打ち切る場合、グラビティがNASDAQの上場企業である以上、他の株主から経営陣への批判が吹き出し、グラビティの取締役としての責任を森下一喜氏、北村佳紀氏、坂井一也氏は追求される物と思われる。
JROの今後について、重要な決定をガンホーの経営陣が下すには、親会社の代表取締役社長と取締役が子会社の取締役を兼務するという人事の解消する必要がある。その為には、ラグナロクオンライン以外の事業を立ち上げて、それを退任の花道にすると行った準備が必要ではないだろうか。
スマートフォン向けMMORPGであるラグナロクオンラインモバイルの開発は、PC版ラグナロクオンラインに売上の大半を依存する状況から脱却するための施策であると考えられるが、この成否はグラビティの今後を占う上で非常に重要な因子になると思われる。
上記のような事情を踏まえると、JROを今年、あるいは来年の内に終わらせるというシナリオは深刻な問題を生み出さずには済まない。
実はJROのライセンスの期限は2017年9月までとなっていたが、2018年の現時点でもJROのサービスが存続している以上、ライセンスの更新は行われたようだ。具体的な期間については、2017年度のグラビティの年次報告書で明らかになるだろう。
ドラムの実装、イグドラシルワールドの開設などのコンテンツの追加が続いている以上、その成否が判明するまでは、もうしばらくの間、日本のラグナロクオンラインは続くと思われる。

今回の考察は以上です。過去に書いた分析記事と重複した内容も含まれ、あまり付加価値の高い記事にはなっているとは言えないかもしれません。
ただ、ラグナロクオンラインの今後を占う上で売上の推移、ガンホーとグラビティの関係などは外して考える事は出来ないので、記事にまとめました。
次回はユーザー数の推移などを元にラグナロクオンラインの現状を確認していこうと考えています。
これら以外に日本のラグナロクオンラインに影響を及ぼす要因があると思いますが、それについても後日記事をあげようと計画しています。
こういった企業の情報の分析はあまり面白いものではなく、生臭さもあるので人によっては眉をひそめる方もいると思います。
しかし、こういった要因はラグナロクオンラインのサービスがいつまで続くのか、といった疑問に答えを出す上で避けられないものであると思うので、今後も読み解いていこうと思います。
公開されている情報を整理するだけで意外な事実に行き着く事もあるので、そういった楽しみもあるのですが…
今回はここまでします。それでは。