こんばんは。ドラムをレベル100にしたり、術忍型の朧を育成してみたり、ラグナロクオンラインをそれなりに楽しんでいます。
ラグナロクオンラインの開発会社であるグラビティですが、実は米国のNASDAQ市場に上場している会社でもあります。韓国企業としてはNASDAQに直接上場している唯一の企業であるらしいです。
そんなグラビティですが、株式市場に上場している以上、投資家向けの広報活動であるIRを行う必要があります。
その中でも毎年4月末に公表される年次報告書は、その年のグラビティの事業の総括であり、当然、ラグナロクオンラインに関しても多くの言及がされています。
今回は2017年のグラビティの年次報告書からラグナロクオンラインに関係する情報を抜粋し、その内容を検討してみる事にしました。
年次報告書の公表に気付いてから短時間で記事をまとめたので、色々と雑で記述も箇条書きレベルではありますが、早めに投稿してみる事にしました。最期までお付き合いいただければ幸いです。
1. 文書作成の目的
この文書は、グラビティの2017年度の年次報告書の内容を検討し、ラグナロクオンラインに関する現状の情報を整理し、紹介する目的で執筆する。
2. グラビティの2017年度の売上等の情報について
グラビティは米国のNASDAQ市場に上場している為、IRで積極的に情報を公開している。
特に毎年4月末に公表される年次報告書は、前年の同社の事業の総括して出される為、その中にはラグナロクオンラインの事情に関する情報が多く含まれている。
今回は先日公表された2017年の年次報告書からラグナロクオンラインに関係する情報を整理し、紹介する。
[20-F] 2017 Annual Report
GRAVITY OFFICIAL - | SEC Filings
2.1 グラビティ全体の売上
2017年のグラビティの総収入は1億3267万ドルである。
2016年度の売上は4269万ドルであり、前年の3倍強の数字なっている。
2016年度には1000万ドルだった「モバイルゲームとアプリケーション」のカテゴリーの売り上げは、2017年には7740万ドルに急増している。
モバイル関係の売上がグラビティの総収入の6割強を占めており、モバイルはグラビティの新たな収益の柱となった。
モバイル関係の売上の内訳は、2.5で検討する。
グラビティ売り上げ | 2016年 | 2017年 |
売上高 | 4269万8000ドル | 1億3267万8000ドル |
売上高(日本円) | 42億6980万0000円 | 132億6780万0000円 |
割合 | 100.00% | 100.00% |
RO関連売上高 | 2446万1000ドル | 3511万6000ドル |
RO関連売上高(日本円) | 24億4610万0000円 | 35億1160万0000円 |
RO関連売上高割合 | 57.29% | 26.47% |
JROからのライセンス収入 | 703万6000ドル | 881万0000ドル |
JROからのライセンス収入(日本円) | 7億0360万0000円 | 8億8100万0000円 |
JROからのライセンス収入の割合(売上高) | 16.48% | 6.64% |
JROからのライセンス収入の割合(RO関連売上高) | 28.76% | 25.09% |
モバイル関連売上高 | 1000万3000ドル | 7740万6000ドル |
モバイル関連売上高割合 | 23.43% | 58.34% |
2.2 PC版ラグナロクオンラインが全体に占める割合
ラグナロクオンライン関係の売上は2017年は3511万ドルだった。この数字は売上全体の26.5%を占める。
2016年の実績は2446万ドルであり、売上全体の57.3%だった。売上そのものは2016年よりも増加している。
これまで、グラビティは売上の6割強を2001年に開発されたレガシーなMMORPGに頼るという状態にあったが、その状況から完全に脱したと言える。
2.3 ラグナロクオンラインのユーザー数の推移
年次報告書によると、主要国全体でのユーザー数の合計は45,438人程度の様だ。JROのユーザー数は2016年の13,165人から減少し、11,254人となった。
主要国全体でみると減少傾向であるが、Ragnarok:Zeroなどのラグナロクオンラインをリスタートするという企画が各国で進行している為、実数はもっと多いのではないかと思われる。
Ragnarok:Zeroと同様の施策は、北米のRagnarok Online RE:START、台湾のRO仙境傳說Online:起源、タイのJellopyなどがある。
問題はそれらの企画で補ったユーザー数をどう売上に結びつけるかだが、その成果が現れるのは2018年が終わるのを待つ必要があるだろう。
PCU:ピーク同時ユーザー数ROユーザー数推移 | 2016 | 2017 |
主要国数 | 4 | 4 |
主要国合計(PCU) | 50,131 | 45,438 |
主要国合計(ACU) | 29,060 | 24,004 |
東アジア合計(PCU) | 43,729 | 39,074 |
東アジア合計(ACU) | 23,710 | 18,579 |
東アジア割合(PCU) | 87.23% | 85.99% |
日米韓(PCU) | 17,653 | 22,691 |
日米韓(ACU) | 7,943 | 10,685 |
日米韓割合(PCU) | 35.21% | 49.94% |
日本(PCU) | 13,165 | 11,254 |
日本(ACU) | 5,136 | 4,643 |
日本割合(PCU) | 26.26% | 24.77% |
韓国(PCU) | 4,488 | 11,437 |
韓国(ACU) | 2,807 | 6,042 |
韓国割合(PCU) | 8.95% | 25.17% |
北米(PCU) | 6,402 | 6,364 |
北米(ACU) | 5,350 | 5,425 |
北米割合(PCU) | 12.77% | 14.01% |
台湾・香港・マカオ(PCU) | 26,076 | 16,383 |
台湾・香港・マカオ(ACU) | 15,767 | 7,894 |
台湾・香港・マカオ割合(PCU) | 52.02% | 36.06% |
ACU:平均同時ユーザー数
2.4 ライセンス期間
ガンホーのライセンスの有効期限は2017年9月が期限だったが、2019年9月に延長された。
この期限内には、JROのサービスは存続すると考えられるが実際のどうなるかは不明である。
2.5 モバイル関係の売上
2017年のグラビティの「モバイルゲームとアプリケーション」の売上は7740万ドルだった。
2016年の数字は1000万ドルだったので、7倍以上の急成長を遂げた事になる。
地域別の売上を見ると、台湾・香港・マカオが4721万ドル、韓国が1607万ドルとなっている。
2016年度のこの分野での台湾の売上は115万ドルだった。前年と比較すると、40倍以上の成長を遂げている。
これはラグナロクオンラインモバイル(仙境传说RO:守护永恒的爱)の正式サービスの開始を受けての数字だと思われる。
ラグナロクオンラインモバイルの正式サービスは中華人民共和国、台湾、韓国で開始されている。
中華人民共和国からの売上は少ないが、理由については分からない。
ラグナロクオンラインモバイルを開発したのは中華人民共和国のXD.comである為、何らかの契約、取引の結果なのかもしれない。
モバイルゲームとアプリケーション売上 | 2016年 | 2017年 |
台湾・香港・マカオ | 115万6000ドル | 4721万7000ドル |
韓国 | 540万5000ドル | 1607万4000ドル |
タイ | - | 400万4000ドル |
中国 | 174万3000ドル | 360万5000ドル |
アメリカ | 100万0000ドル | 246万8000ドル |
日本 | 57万0000ドル | - |
その他 | 12万9000ドル | 403万8000ドル |
合計 | 1000万3000ドル | 7740万6000ドル |
2.6 グラビティの今後
モバイルの売上急増により、以前の状態から脱したが、1つのタイトルに依存する状態は変わっていない。
ラグナロクオンラインモバイルの事業を成長させつつ、これに変わるタイトルの立ち上げが必要になるだろう。
PC版ラグナロクオンラインはグラビティの今後を左右するような事業ではなくなったが、これをグラビティの経営陣がどうしていく積もりなのかは分からない。
創業当時からの事業という特別な事情を考慮すると簡単に終わるとは思えない。また売上全体に占める割合が下がったとはいえ、全体の4分の1はPC版ラグナロクオンラインによって産み出されている。
この割合は2018年には急減するだろうが、Ragnarok:Zeroなどの施策を行っている事を考えれば、グラビティはまだラグナロクオンラインの事業を存続させる事に意欲を持っている様だ。
ラグナロクオンラインの今後については分からないが、少なくとも直近では終わる事はないだろう。
グラビティがラグナロクオンラインをどうして行くのかを見極めるには、しばらくの時間が必要になりそうだ。
今回の記事は以上です。今日の昼に年次報告書が公開されている事に気付いてから、急いで記事をまとめてみました。
JROのユーザーにとって重要なのは、ガンホーに付与されていたラグナロクオンラインのライセンス期間が2019年9月まで延長されていたという点でしょう。
JROの今後については、ドラム、ロビーワールドの実装を、新規のユーザーの増加、既存のユーザーのつなぎとめにつなげられるかが鍵になるでしょう。
その成否について評価するのには、しばらくの時間が必要になると思うので、少なくとも2019年までは日本のラグナロクオンラインはサービスが続くのではないでしょうか。
今後も気が向いたら、こういう記事を追加していきます。
今回はここまでします。それでは。
コメント